2025/12/28

Yaphet Kotto 『Fact Nor Fiction』サンプリング部分対訳

Yaphet Kotto 『Fact Nor Fiction』サンプリング部分対訳 


 
 We don't want you here. Go back home, where you came from. The only way we do want you here is if you transform yourself. 

 In other words, become the image of our fantasy of an obedient, english-speaking, white-thinking, acculturated, assimilated American.

 It's for your own good. 


 Sure, you can become an American. You can be one of us. You just have to abide by some simple rules. 

 All you got to do is: Forget where you come from, buy the lie, kill yourself to wake up in the American dream, or else. 

 Stop all traditional cultural practices today. Stop all identity connected to your mother country now. Stop speaking any language other than english.

 And if we catch you speaking any foreign language in public, in school, even in the home, you are subject to arrest and deportation. 

 It's for your own good. 

 

 See, how easy it is to become an American? Just fulfill the image of our fantasy of docile, quiet, obedient, english-speaking, white-thinking. 


 On second thought, we'd prefer that you not to become voting citizens. So just stay illegal, so we can continue to have our scapegoats, okay? 

 Land of the free, home of the brave. See how many options you have? Things will be so much easier once you forget all that bothersome cultural private stuff. Primitive thinking religions and indigenous languages. Then you can progress, move forward. Move towards the ideal. Complete assimilation. 

 It's for your own good. 


 Then maybe you can get an education. See, in America everyone is equal, right? Everyone has the same opportunities to succeed, right? Thats what this democracy, this system, this government, this country is based on, right? 


 Equal opportunity, that's why we ended affirmative action. It's for your own good. Because minorities , working people, poor people, they don't need any policies like that. Because everything's equal, right? 

 

 Racism? Oh, that... uh...well... see, we took care of that. 

 Thats not a problem anymore. Maybe theres a few isolated incidences with the K.K.K. in the south but this is California. 

 Racism's a thing of the past.

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 貴方は必要ありません。ここから出ていって。元いた場所に帰って。ここに貴方の居場所はありません、自分を造り替えない限りは。

 つまり、従順で、英語を話し、白人の思考を身につけ、文化を捨て———同化した“アメリカ人”という、私たちの夢想の像になるんです。

 それが貴方のためです。


 もちろん、アメリカ人になることはできますよ。私たちの一員に。いくつか簡単なルールを守るだけです。

 やることはこれだけ。「出自を忘れろ。欺罔を受け入れろ。国家的共同幻想の中で目覚めるために、己を殺せ。」

 或いは、

 「今日からすべての伝統的な文化的慣習をやめろ。今すぐ母国と結びついたあらゆるアイデンティティを捨てろ。英語以外の言語を話すのをやめろ。もし公共の場で、学校で、いや家庭内でさえ外国語を話しているところを見つけたら、逮捕・強制送還の対象になる。」

 貴方のために言っているんですよ。


 ね、アメリカ人になるのは簡単でしょう? 素直で、静かで、聞き分けが良く、英語を話し、白人の思考をする――その幻想のイメージを満たすだけ。


 ……やっぱり考え直した。投票権を持つ市民にはなってほしくないな。非合法の立場のままでいてほしい。

 その方が、私たちが人柱を維持し続けられるから。いいでしょう?

 自由の国、勇者の故郷。選択肢はたくさんあるでしょう? 煩わしい文化的私事なんて全部忘れてしまう方が、ずっと簡単です。原始的な宗教や先住民の言語も同様。そうすれば進歩できる、前に進める。理想へ。完全な同化へと。

 それが貴方のためなんです。


 そうすれば、もしかしたら教育も受けられるかも知れませんね。

 ほら、アメリカでは皆が平等でしょう? 成功する機会は誰にでもあるでしょう?

 それがこの民主主義、この制度、この政府、私達のこの国の基盤でしょう?


 機会の平等、そのためにアファーマティブ・アクションは廃止しました。その方が良いでしょう?。

 だって、少数派や労働者や貧しい人たちはそんな政策、必要としていませんから。なぜならすべては平等なんだから。ね?


 人種差別? ああ、それは……うん、まぁ……ほら、もう解決済みですから。問題ありませんよ。

 南部にK.K.K.の別個の事例が"少し"あるかもしれないけれど、なんせここはカリフォルニア。

 人種差別なんて、もう過去の話ですよねぇ。

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2025/12/25

だけどおれはちがう

 裸のラリーズ (Les Rallizes Dénudés) に、「だけどおれはちがう」という名の曲がある。とても美しい言葉だと思いませんか。



2025/12/08

(仮)ズ / 『(仮)ズ』 - Released 2013/05/13, Streamed 2020~2023 - 全曲について

 (仮)ズ - 『(仮)ズ』 - Released 2013/05/13 (CDr), Streamed 2020~2023 - 全曲について

1 - 殺してよ
2 - できないのうた
3 - うさぎ、ガラスの中
4 - VHS GIRLFRIEND
5 - コンクリート
6 - プラットフォーム
7 - Fault
8 - Youth Youth Youth
9 - Owari

(仮)ズ - 『(仮)ズ』(S/T) - Released May 13, 2013 (CDr)
Streamed 2020 ~ May, 12, 2023

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1 - 殺してよ

 冒頭4秒━━サウンドチェック。リアPUから出力されるディストーション・ギター、「早く始めろ」と急かさんばかりのスネアが4カウント。リヴァーブを欠いた、しかし存分に暗く重いシューゲイズサウンドでセルフタイトルは遂に始まる。
 遠く響いてくる震えた声から歌詞を正確に聴き取るのは困難だが、そのようなサウンドプロダクションがアルバム全編通して一貫している。時間の制約があるとはいえスタジオアルバムとは録り直しが可能であり、むしろ意図的に聴き取りにくく発音しているのだろう(「綺麗です/僕なんて」または「嫌いです / 僕なんて」と聴こえる)。

 サウンドメイク、タイトル、比較的聞き取りやすい冒頭、明確に聴こえるコーラスセクション直前「頭がおかしいんだ」というリリック。それらから受ける自己嫌悪・内省的印象とは裏腹に、語りかけるような口調があくまで他者或いは聴き手の存在を忘れていない。 

 何より「死ぬ/死にたい」ではなく、自嘲と共に綺麗な貴方に救いを求める「殺してよ」だ。

▶︎Bandcamp - https://kakkokariz.bandcamp.com/album/decay


2 - できないのうた

 抑うつとした救いを乞い願う1曲目と打って変わって、そのギターが生み残していった泥々のカオスの後にバンドはここで激しい躁状態に突入する。音源ではBPM170~180、ライブ版は190~200を行き来するキラーチューン。
 これは音源とライブ版で受ける印象が大分異なるので是非聴き比べて欲しい。

▶︎SoundCloud - https://soundcloud.com/lcding/q9hsc4tcckwm

 絶叫される「君みたいに/なれないや」「できない/できない/できないな/笑って誤魔化しているだけ」の歌詞は、ここでもやはり自暴自棄だけではなく一方で冷静な自嘲をたたえている。

 「美しい/立派な貴方」と「醜くて/駄目な自分」という視点は1曲目と共通するが、ここでは「殺してよ」どころか目の前の「君」を八つ当たりに殺さんばかりの勢いだ。


3 - うさぎ、ガラスの中

 (仮)ズ の中では比較的詞が聴き取りやすい。
 苦しく暴力的ですらあった冒頭2曲と「生まれた時から飼われた、だから野生で生きる術を持たないウサギ」への憐憫が歌われる3曲目。

 「ウサギは/死ぬまで/小屋で生きて」「逃げたら/飢えるだけなんだ」
 躁・鬱に振り回される様を傍観した後、一時だけ我に帰ることを許された狂人がみせる優しさに触れた瞬間のようで、感情が苦しさや怒りだけではない事を思い出させてくれる。
 ……私たちのいる場所は檻の外だと果たして言い切れるのだろうか。

 ラスト、金属メッシュのケージが開く様な音がする。うさぎは帰ってきたのか、それとも今度こそ世界を隔てる透明な壁を破ったのか。

 冒頭からここまで、私がこのアルバムで2番目に好きな部分。

4 - VHS GIRLFRIEND

 I ( ↔︎ II ) ⇒ b III ⇒ V ⇒ IV のベースから始まり、かつ一貫してこの進行で楽曲は完結する。

 “Add 9thで浮遊せずマイナー調で統一した場合の初期ART-SCHOOL的アレンジ”と表現しても差し支えないだろう。強いて挙げればイントロは”UNDER MY SKIN”、コーラス部は”スカーレット”だろうか。

 ここでもやはりリヴァーブの欠けた、しかし重苦しい(仮)ズ的シューゲイズが表現される。
アウトロの残響やFBノイズを聴く限り実はTimeの長いリヴァーブないしディレイが使用されているにも関わらず、ドリーミーだったりウェットな印象は受けない。簡単に思いつく理由としてはDecay(原音からエフェクトが掛かり始めるまでの長さ)のセッティングを長めに取っているか、ディレイペダルを敢えてODペダルの前段に置いているのだろうか。

▶︎Bandcamp - https://kakkokariz.bandcamp.com/track/vhs-girlfriend-version


5 - コンクリート

 幕間或いはインタールード。冬・早朝のコンクリートに触れた時を想起させる冷たいアルペジオ。そんな物に触れるのは歩いていて転んでしまった時、挫かれて足の止まった時くらいだろう。


6 - プラットフォーム

 フェードアウト━━下降していくアルペジオがそのまま上昇するかの様にここへ行き着く。(よくよく聴けば駅のアナウンス音のような組み合わせでアルペジオは構成されている)

 待ち人を急かすようなつんのめったビートを伴ってアナウンスは鳴り続けている。ドアが閉まるまで4, 3, 2, 1。ギターが鳴らす文字通りのサイレンを伴ってメトロは出発した。


7 - Fault

 ……警笛は止んだ。列車は必ず次の駅へ。ではギターは?やはり再び鳴る。ギターロックがギターから始まるのは全く不自然なことじゃない。

 サウンドプロダクションはこの楽曲のみアルバム内で大分異なってハイファイで力強い音……というにはやや異質な、録音の時が・場所が異なる質感の違い。

 基本的にデッドなサウンドに統一されたこのアルバムの中でも全パートがフィジカルを以てのダイナミクスが生きた演奏を聴かせる。
 1曲のみサウンドエンジニアを招いて録音したというのが恐らくこの楽曲と見受けるが、Bandcampの楽曲ページ及び公式HPではその名を確認する事は出来ない。

 (仮)ズは2013年5月13日に解散した。よってそのクレジットが、記名性は、恐らく永遠に失われることだろう。(※追記3)

▶︎Bandcamp - https://kakkokariz.bandcamp.com/track/fault

▶︎HP - https://www3.hp-ez.com/hp/kakkokariz


8 - Youth Youth Youth

 実質的なラストを飾る楽曲。
 切迫して踏みとどまるビート、冷たいアルペジオ。まるで”ロックバンドみたいな音楽”、”ロックバンドなどというもの”を初めて聴いた時の感覚を思い出すかのような━━音数が執拗に詰め込まれているが緩急のついた必死の、ギリギリでカオスに突入しない理性的な━━ギターソロ。

 「君の銃を撃て」……ギターは銃、刃、時に言葉を持たぬブランケットの慈しみかのように鳴る。このギターは額面通り目も眩む光を放つ研ぎ澄まされた刃、体温の感じられない"設計されし"殺戮者・鉄塊としての銃だ。
 弾丸は打ち続けられる。弾が尽きるまで。35分間のアルバムが、楽曲自身のテンションが最高潮に達するのは僅か約50秒間/32小節。

 弾は尽きた。残った硝煙のように不可避的な演奏が続行される。ブレイクダウン、冷却。1コーラスのそっけないリフレイン。

 終わり続けた演奏がついに必然に終わった。


9 - Owari

 この楽曲はリリース・配信されていたのと殆ど同様のものをSoundCloudで聴くことが出来る。そのタイトルは「全部、大切な思い出だから」で、最後の最後にCV : 花澤香菜の声がタイトルを読み上げて終幕する。

 出典は化物語 第十話「なでこスネイク 其ノ貮」か。本編15:09以降、千石撫子が発する一連の台詞から。

▶︎SoundCloud - https://soundcloud.com/kakkokariz/zenbutaisetsunaomoidedakara

 
 
期間限定の再結成を除いて(仮)ズの実質的な活動は1年未満、2017年のごく短期間のバンド再結成を含めても2年とない。(仮)ズは解散した。

 最後に。「コンクリート」から「プラットフォーム」の始まりと終わりまでがこのアルバムの1番好きな部分だ。


| This article was written and published on April 24, 2023. (on Tumblr)

-追記:2024.6.20
1. CDは2013年5月13日に吉祥寺GB(現: 
ROCK JOINT GB)で開催された『LEAF STEP FINAL』において9曲入り,¥500でリリースされた。
2. ジャケットのアートワークは当時15STEPONTHELEAFのベーシストであったshamaism氏 (@shamaizm)
(2024年現在はKOVINSのベーシスト) (@kovinsband)
3. ※記事執筆当時リサーチ不足で参照することができなかったが、実際には2024年現在フリーのレコーディングエンジニアであるたりお氏(@tario_)によってレコーディングされた。(https://tarioworks.amebaownd.com/)

2025/10/13

草稿

 2020年代において音楽家の言う 生活を歌いたい などの志向は幸福な気晴らしで知性の成功例といった様態へのベクトルであり、そして構造の中の最も弱い者達の苦しみを知的に鱈腹喰らった搾取者の作品のための自己弁護である。

2025/09/30

2025/07/05

Mats Gustafsson / Liudas Mockūnas - 『Watching a dog. Smiling』

 Mats Gustafsson / Liudas Mockūnas - 『Watching a dog. Smiling』(2024)

M1: Watching a dog. Smiling
M2: More Sad than Love. is Life
M3: It is. Like me
M4: Cold talk. From the other side
M5: Hot and wet clay. Covered knees
M6: An Urge. of Nothingness

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Label - Vinyl: NoBusiness Records
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 スウェーデンのリード楽器奏者 Mats Gustafsson とリトアニアのクラリネット奏者 Liudas Mockūnas のデュオによる全編即興のライブ演奏をアルバムとして纏めた1作。リリースは2024年だが今作収録のライブ演奏は2022年11月に行われた。リリースはリトアニアのフリージャズ・前衛ジャズレーベル 
NoBusiness Records  から。

 使用楽器のフルート、サックス、クラリネット等に加えてライブエレクトロニクスとの融合が試みられ、均一的なビートを排した静寂と一瞬にして爆裂する音の掛け合いは演奏者同士の息遣いや血管を乱高下する血液と筋肉の脈動している音、場に重くのし掛かりながらも聴こえるはずのない重力の音すらもが間近に聴こえてきそうな程のスリリングさに全編において満たされている。思考と感情を瞬間的に増幅し出力するための第二の身体として有機的生体組織である肉体に直結せられた管楽器による演奏が、当意即妙の応酬を交わしながら激しさと激的な熱を担う一方、時たま添えられるライブエレクトロニクスこそがむしろ肌の温度のように優しくぬるい。

 Mats Gustafsson は1990年代初頭から活動しているフリージャズ/インプロヴィゼーションジャズ界では"お馴染み”とも評される著名プレーヤー。そして日本においては灰野敬二とのデュオでも知られるドイツのサクソフォニスト Peter Brötzmann (2023年逝去)の教え子であった。最近では2025年5月にスウェーデンのベテラン・ジャズミュージシャン Christer Bothén を筆頭とする Cosmic Ear の一員として We Jazz Records から『TRACES』をリリースした。


2025/06/30

Top 50 Favorite Album List

 Top 50 Favorite Album List (but in no particular order)

-『eliot rosewater iii』eliot rosewater (1996)

-『Before the Last Song at Wounded Hill』Seki (1998)

- 『Dirt Pirate Creed』Deerhoof (1996)

-『青盤』あぶらだこ (1986)

-『Eraser, Pencil』Pot-pourri (2025)

-『タカラネタンチョトタカイネ』大里俊晴 (2011, from 1978-2010)

-『I'm standing nowhere』bloodthirsty butchers (1993)

-『youth (青春)』bloodthirsty butchers (2013)

-『Self-titled』bloodthirsty butchers (1990)

-『acre thrills』U.S. Maple (2001)

-『やめも』全自動ムー大陸 (2014)

-『WHITEOUT』olaf rupp (2008)

-『You Will Never Know Why』Sweet Trip (2009)

-『End on End』Rites of Spring (1985)

-『Tanworth in arden E.P.』Tanworth in arden (1998)

-『Cable Hogue Soundtrack』Les Rallizes Dénudés (1992)

-『Trout Mask Replica』Captain Beefheart and His Magic Band (1969)

-『For Weeks at a Time』Forty Nine Hudson (1998)

-『Everything repeats itself forever』Reverie (2021)

-『self-titled』TTUD (2019)

-『Self-titled』Cloud on my pillow (2021)

-『Watching a dog. Smiling』Mats Gustafsson and Liudas Mockūnas (2024, Recorded 2022)

-『emo otaku discography』emo otaku (2023, from 2016 spring)

-『avoiding life』Sore Eyelids (2019)

-『リトルガールハイエース E.P.』littlegirlhiace (2017)

-『Cor-crane Secret』polvo (1992)

-『blue youth suicide fanclub』Fuzzklaxon (2015)

-『Self-titled』(仮)ズ (2013)

-『uni umit』Lithops (1998)

-『Teenage Last』木下理樹 (1999)

-『Strumpet』Lois (1993)

-『Syncopated Synthetic Laments for Love』Yaphet Kotto (2001)

-『The Wrong Side of History』Kent State (2013)

-『Sketch for 8000 Days of Moratorium』Boyish (2014)

-『Unknown Pleasures ("disc 2, Live")Joy Division (1979)

-『Shrink』the Notwist (1998, Deutschland)

-『開発日記』1/8計画 (2024)

-『WHITE LIGHT / WHITE HEAT』the velvet underground (1968)

-『The intellect given birth to here (eternity) is too young』Peter Brötzmann / Keiji Haino Duo (2022, Recorded 2018)

-『Fushitsusha 1st』不失者 (Recorded 1989)

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